
審査委員長
武山政直 (慶應義塾大学経済学部教授)
準天頂衛星の利用ということで、衛星測位の可能場所・時間や精度の向上をどう上手く利活用していくか、ということを大前提に審査させて頂きました。その上で『あっと驚く』とありますように、既に色々とGPS測位の利活用が行われているのですが、新しさということにこだわりました。更に、これからの世の中で利用者にとってメリットがある、社会的にも期待されるという面からも評価しました。また、『あっと驚く』という部分とは矛盾するかもしれませんが、あまりにも実現性がない、SFの100年後の世界を出されてもリアリティに欠けるということで、ある程度『実現性』というところにも着目して選考させて頂きました。
今回は、全部で72件という多くの応募を頂きました。実際には複数の件数を出した方もおられますが、初回としては非常に好評で、これだけの数の応募を頂き、審査する側も非常にやり甲斐がありました。いずれの作品も興味深いものがあり、それぞれの案件を見て非常に楽しみながら審査が出来た、ということも合わせて申し添えます。
なお、当初の計画では、最優秀賞が1件、優秀賞が 5件の予定でしたが、初回でもあり、表彰枠を広げたい、ということになり、審査委員の賛同を得て、特別賞として2件追加選出しました。
全体を通じて、色々なバリエーションがあったのですが、今後もし機会がありましたら更に若い世代、高齢の世代など、色々な対象に応募をかけ、更に広く有意義なアイデアが集まるようにつなげてゆくことを期待します。
各賞の選出評価結果:
最優秀賞『parallel scape 都市空間の新しい楽しみ方』
リアルの世界とバーチャルの世界を、位置情報をキーとして繋げていきながら、ゲーム性を持たせたエンターテイメント性の高い提案をされています。位置情報と言うと固いイメージがありますが、夢のある世界での利用を考えていくということがこれから期待され、内容的にもしっかり書かれており、最優秀賞と評価しました。
優秀賞『トカイノムラカ』
街の中で近くを通り過ぎたヒト同士に新しいコミュニケーションの機会を与えようというものです。非常に着眼点がユニークで、位置情報をコミュニケーションにつなげていくという切り口が斬新であることを、評価しました。
優秀賞『準天頂衛星システムを用いた船舶自動識別装置の高度化組織化による海難事故防止と海洋観測の充実について』
社会的な実用性というところが期待される部分で、船舶運行に位置情報の技術を使ったものです。現在大型の船舶では実用化されているが、個人が使っている船舶、ヨット等は、位置を測る手段が現在のところはありません。昨今海上の事故が起こっている中で、このような分野への技術の活用が非常に期待されるであろう、という面を評価しました。
優秀賞『局地気象イベント待避ナビゲーションサービス』
気象予報、位置情報を上手く使うことでミクロな、ローカルなエリアの情報をリアルタイムで把握していくことが出来るようになります。局地気象の変化を捉えようとするサービスというのも社会的に期待が大きいであろう、分かりやすい、という面を評価しました。
優秀賞『スポーツTV中継の高度情報化』
スポーツ、サッカー選手や、サーキットを走っているレーシングカーに位置情報技術を活用して、スポーツの楽しみ方というところにも、こういう技術が取り入れられると良いのではないかという、新規性を評価しました。
優秀賞『特定場所における合成写真撮影』
色々な場所に行くと、その場所ならではの背景画像が写真を撮る際に自動的に合成されるというアイデアです。プリクラ感覚で色々な場所でご当地コンテンツのような形で写真が撮れる、スキームです。技術的にはシンプルですが、逆にこういったものから衛星測位利用の普及が広がっていく、普及への期待度を評価しました。
特別賞『準天頂衛星とμ-Chip HIBIKI を活用した食品/食材の安全支援システム』
μ-Chipと呼ばれるICタグのシステムなのですが、これとGPSの位置情報を上手く組み合わせて、食品・食材の安心安全支援につなげるものです。衛星測位単体のサービスではなかったのですが、ユビキタス社会への対応に向けてこういう周辺技術との融合で新しいものを考えていく、アプローチを評価しました。
特別賞『町のコンシェルジェサービス』他
この方は個人で35件応募して頂きました。最初のコンテストでこれほどの熱意を持って応募してきて頂いたということ、それぞれに面白いものがあり、評価しました。
以 上